カズーの映画感想ブログ

映画をゆるく独断と偏見で紹介

グッドライアー偽りのゲーム

原題:The Good Liar

監督:ビル・コンドン

出演者:ヘレンミレン・イアンマッケラン

上映時間:109分

 

〜老人たちで行われる濃厚な大人の駆け引き〜

老詐欺師のロイは出会い系サイトで未亡人資産家ベティとしりあう。

彼女の資産を奪うべく近き、紳士の振る舞いで言葉巧みに騙していき、徐々に心を許していくベティーであったが…

 

以後ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

作品概要

「シカゴ」「グレイテスト・ショーマン」の脚本のビル・コンドンが監督による大人の騙し合いによる濃厚ミステリー

「クイーン」でオスカーを受賞したヘレンミレンと「ゴッド・アンド・モンスター」「ロードオブザリング」で2度ノミネートを果たしたイアンマッケランのダブル主演で初共演作。

 

それぞれの嘘

タイトルと雰囲気から嘘がメインになり、話が進むにつれ、ロイの嘘と性格がどんどんとでてくるが、その嘘をつく流れや残忍な行動を見せつけらる。嘘がわかってくるにつれて純粋なベティがどうなっていくのかと心配になってくる。

しかし物語が進んでいくにつれ、実は嘘をついているのはイアンマッケランだけでなく、ヘレンミレン演じるベティを含む登場人物全てが嘘をついているのがわかってくる。

ベティは実は息子と二人で暮らす寂しい老人でなく、ロイに復讐を誓う女性で、息子も探偵、ロイの友人も実はベティと繋がっている。

ここですこしずつタイトルのグッドライアーの意味がわかりだしてくる

登場人物たちそれぞれの嘘が明らかになっていくなかでただの騙し合いだけでなく、人間関係が絡み合い、戦時中ナチス関連でロイは別人になっていることや過去ベティに酷いことをしていることがわかってくるにつれ、ミステリーでもありサスペンス要素を含んだ復讐の物語だということがわかる。

 

伏線とヒント

段々とクライムサスペンスのようになるが違和感がなく物語が進んでいくのはみごとな転調である。しかもベティとロンがみる映画が「イングロリアスバスターズ」やベティの家に怪しい車が来る、散髪など所々にヒントが隠されており、行動全てに意味があるのはすごい。

 

ラスト

この物語は人は誰しも大なり小なり嘘をつくものだが、その嘘はいずれ自分に返ってくるのが痛いほどわかり、人を騙し続けるロイに始めはきらいになっていたが、最後は同情をするとともに、ヘレンミレンの演技がすごすぎて最終的にはベティがすごく怖くなった笑

ラストでは今までの暮らしが演技とわかり、家族友人に囲まれ、楽しそうにパーティーをするが幼い3人姉妹をみて、すこし不安げになる。

 

 

全体を通して

名優2名による年寄り同士の大人の駆け引きと騙し合いの演技に引き込まれ、なおかつ演技に劣らないほどの過去の出来事が絡み合い、ラストへの伏線を上手く回収していく物語の展開が凄く見応えがあるあり引き込まれた。

上質のサスペンスで秋の夜長にまたゆっくり見たい作品。