カズーの映画感想ブログ

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「リグレッション」邪悪な者とはなんなのか?

原題:REGRESSION

監督:アレハンドロ・アメナーバル

出演者:イーサン・ホークエマ・ワトソン

上映時間:106分

 

〜邪悪な者とはなんなのか?〜

1990年アメリカのミネソタ

刑事のブルース(イーサン・ホーク)は父親から性的虐待を受けた少女アンジェラ(エマワトソン)の事件を扱うことになる。

しかし、虐待した父もアンジェラも記憶が曖昧で事件が難航する。

そこで有名な心理学者ケネス(デヴィッド・シューリス)の力を借り、記憶を辿りながら事件を追うのだか…

 

 

以降一部ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

概要

 

アザーズ」のアレハンドロ・アメナーバルと「ガタカ」のイーサン・ホークによるサスペンスミステリー。

実際にあった事件を元にしている本作だが、1980年から1990年はアメリカでは実際に悪魔信仰による虐待が行われていた。

日本ではあまりキリスト教が主流でないため、悪魔と言ってもイメージしにくいがアメリカでは大きな社会問題となっていた。

そして今作ではその悪魔信仰を取り扱っているのだが、非科学なことに加えてアンジェラや父の記憶が曖昧であったり、ブルースが感情的になりやすい性格で登場人物の誰も信用できない状態で物語は進んでいく。

特に主人公のブルースは妻と別居していること以外の詳細がないため主人公に感情移入ができない。

これはアメナーバル監督が意図的に事件以外のことを削っているそうだ。

それにより見ている側もだんだんと孤立していくような不安感と物語が進んでいるのかわからなくなってくる。

 

キャラクター

 

そんなブルースを演じたイーサンホークは見事に感情的で気性の荒い性格と段々と恐怖で精神的に不安定になっていく様子を演じている。

しかし特に見どころなのは最初は内気で複雑な内面を持っており、一見素直で善良な人間に見えるアンジェラを演じたエマワトソンには驚愕した。

この物語は心理療法などの科学的なことと悪魔信仰やキリスト教などの非科学的な事柄が複雑に絡み合いながらもどちらを信仰する登場人物たちの中でどちらも信用していないブルースが一見見ている側に近いがブルースにも同意できない複雑な気持ちになる。

 

全体を通して

この映画のタイトルになっている「リグレッション」は退行を意味しており、劇中に出てくり記憶を呼び覚ます退行理論を意味しているが、真実は刑事と学者の記憶の植え付けというテーマが隠れている。

全体的にジメジメとしたホラーっぽいサスペンスだが、エマワトソンの演技により上質なミステリーにもなっている。